第38回極東プラスチック業界懇談会報告
(2012年11月1日〜2日 韓国ソウル)

 第38回極東プラスチック業界懇談会が2012年11月1日〜2日に韓国ソウルのグランド・アンバサダー・ホテルで開催された。
参加者は、韓国(韓国プラスチック工業協同組合連合会KFPIC)58人、台湾(台湾区プラスチック製品工業同業公会TTPIA)27人、日本(日本プラスチック工業連盟JPIF)15人であった。今回、インド(Plastindia Foundation)、中国(中国プラスチック加工工業協会CPPIA)は不参加であった。
 
1.各国代表挨拶概要
     各国の会長は、この懇談会でプラスチック業界を取り巻く懸案と課題について活発な議論を行い、相互の情報交換によって有意義な会議になることを期待すると述べた。
JPIF 藤吉会長は、原料高騰、円高等の影響による輸出の伸び悩み、欧州ソブリンクスの再燃や電力供給制約などの厳しい事業環境にある今こそ、新時代におけるイノベーションを先取りし、より付加価値の高い製品を様々な産業分野に提供し、エネルギー、食料、医療等の世界的課題の解決に貢献して行く事が必要であり、また期待されていると述べた。
KFPIC Cho Bong-Hyeon会長は、プラスチックは、鉄・紙を代替し資源節約になっている事等のイメージアップの広報の重要性やプラスチックに有害物質を添加させない規制が必要と述べた。技術など共通の課題についてお互いに情報を共有し、一緒に協力しなければならないと述べた。
TTPIA Tsai Ming Chung会長は、原油、電力高による厳しい事業環境が続き、台湾の輸出は6ヶ月連続で落ち込んでいたが、最近になり回復の兆しを見せているとの経済状況について述べた。食品容器の安全衛生に関する管理規定(材質、溶出等)の法制化の必要性を述べた。
 
2.プラスチック産業動向
    2-1 2011年から2012年上半期の日韓台動向比較
    3国のプラスチック産業規模を簡単に比較したものを表1に示す。
韓国、台湾の輸出比率はそれぞれ56%、67%とかなり高く、日本(35%)との大きな違いになっている。一人当たりの使用量は、日本は韓国、台湾と比べて低めである。各国とも一人当たりの使用量は、昨年とほとんど変わっていない。
   
表1 各国のプラスチック産業規模(原材料ベース)    (2011データ)
  A 生産量 B 輸出量 C 輸入量 D 国内消費 D/A E 人口 D/E
  千トン 千トン 千トン 千トン % 千人 kg/人
日本 11,212 3,906 2,272 9,578 85.4 126,530 75.7
韓国 12,922 7,178 453 6,197 48.0 48,875 126.8
台湾 5,959 4,011 532 2,480 41.6 23,370 106.1
(韓国、台湾の生産量、輸出入量はエンジニアリングプラスチックを除く)
     
    3国のプラスチック原料の過去6年間の生産量推移を表2に示す。
日本、韓国、台湾の2011年生産量の対前年比は、それぞれ-8.4%、-0.8%、-5.9%で各国とも減少した。台湾、日本の減少が韓国に比較して大きい。日本の生産量は、まだリーマンショック以前の水準までは回復していない。韓国の生産量は、2009年に初めて日本の生産量を上回り、その状況が続いている。2011年は日本を約170万トン上回った。
   
表2 プラスチック原材料生産量推移 (生産量 千トン)
    2006 2007 2008 2009 2010 2011
日本 生産量 14,050 14,199 13,041 10,915 12,242 11,212
指数 % 100.0 101.1 92.8 77.7 87.1 79.8
韓国 生産量 11,278 11,788 11,869 12,749 13,028 12,922
指数 % 100.0 104.5 105.2 113.0 115.5 114.6
台湾 生産量 5,970 6,417 5,713 6,159 6,331 5,959
指数 % 100.0 107.5 95.7 103.2 106.0 99.8
     
    3国の原料樹脂の2011年上半期と2012年上半期の対比を表3に示す。 
2012年上半期の国内消費量は、2011年上半期と比べて韓国が小幅ながら増加、日本、台湾は減少している。韓国の生産量はエンプラが含まれていないが、12年上半期もエンプラを含む日本の生産量を約128万トン上回っていて、年間でも昨年に引続き韓国の生産量は日本を超えるものと思われる。日本の2012年上半期の生産量は、前年同期比-9.4%と大きく減少した。各国とも2012年上半期輸出は、前年同期比マイナスとなった。2012年上半期輸入は、韓国が大きくマイナス、日本、台湾は増加した。
   
表3 プラスチック原材料上半期対比    (生産:トン、前年比:%)
  原材料生産 原材料輸出 原材料輸入 国内消費
2011 2012 2011 2012 2011 2012 2011 2012
日本 5,796,242 5,238,218 2,040,880 1,788,006 1,149,111 1,224,224 4,904,473 4,674,436
前年比   -9.4 前年比   -12.4 前年比   6.5 前年比   -4.7
韓国 6,440,208 6,516,692 3,482,881 3,419,434 239,480 188,873 3,196,807 3,286,131
前年比   1.2 前年比   -1.8 前年比   -21.1 前年比   2.8
台湾 2,222,086 2,061,203 1,421,714 1,289,329 167,788 184,802 968,160 956,676
前年比   -7.2 前年比   -9.3 前年比   10.1 前年比   -1.2
(台湾のデータは1-4月)
 
3.各国の廃プラスチックリサイクル状況
 

3-1 日本

    2010年の日本におけるプラスチック製品の処理・処分状況は次のとおりであった。
プラスチックの国内消費量は970万トンで、対前年比15%増であった。廃プラスチ ックの総排出量は945万トンで、対前年比4%増であった。
家庭から排出される一般廃プラスチックは459万トン、産業廃プラスチックは486万トンであった。有効利用された廃プラスチックは723万トンで、また有効利用率は77%となった。
  3-2 韓国
    韓国の廃プラスチックは、家庭生活系廃棄物、産業生活系廃棄物、産業廃棄物、建設廃棄物に分類される。2010年の廃プラスチック総量は472万トン、各々150/28/263/31万トンで、比率は31.8/5.9/55.8/6.5%となっている。
廃プラスチック総量472万トンの内、リサイクルは254万トン、残りは、埋め立てと焼却で各々39万トンと179万トンである。
  3-3 台湾
    廃プラスチック容器は、PET、PVC、PP/PE、PS、PS発泡、その他プラスチックに分類されている。2011年の統計では、廃プラスチック容器回収量は19.3万トンで、その中の16.9万トンが再生材となった。
   
4.プラスチックのイメージアップ活動
 

4-1 日本 「プラスチックに関するアンケート調査から窺える消費者の示唆」

    2012年7月に実施したプラスチックに関するアンケート調査結果及び各団体が実施中の“プラスチック有用性に関する広報活動”(講演会、学校への出前授業、消費者団体・自治会への勉強会等)について紹介した。
  4-2 韓国 「プラスチック容器のリサイクルによるイメージアップ活動」
    いくつかの環境配慮型のリサイクル製品例として、鉛筆立て、プランター、花瓶、ランプ立て等の紹介があった。
  4-3 台湾 「プラスチック容器の安全衛生教育と活動」
    活動として、2009年から2011年にかけて、22のプラスチック食品容器加工メーカーの査察、同じく33のメーカーへの指導教育、輸入業者を含む関係業者に対し9つの会議、40のセミナーを、学校の先生・生徒に20回の出前授業を行い、トータルで約12,000人が参加した。
   
5.プラスチックと環境配慮
 

5-1 日本 「プラスチック食品容器の環境配慮の歴史と最近の状況」

    1995年の容器包装リサイクル法までの経緯、その後の「軽量化技術の発展」「リサイクル手法の多様化」「材料リサイクルの高度化」「循環型資源による包装容器の普及」を説明、最近のPETボトルや発泡PSトレイのように単一素材で分別回収されたものを、再び食品用途に使用する際の安全衛生上のガイドラインを紹介した。
  5-2 韓国 「エコフレンドリープラスチックの開発と用途」
    バイオマスプラスチックの代表例としてPLAのアロイが紹介された。
リサイクル例としてマーク表示やエンプラリサイクルによる家電部品等への状況が、米国の事例から紹介された。
  5-3 台湾  「プラスチック容器の安全衛生管理の方向」
    製造関係者は「原材料、容器の安全性の記述をしていない」、「事前の安全性チェックや品質管理をきっちりと行っていない」、「製品表示をしていない」等の問題点があり、食品容器の安全衛生管理法への理解や法規制の遵守は重要であるとの報告があった。
 
6.おわりに
   この懇談会は3団体による各国のプラスチック産業の重要課題に関する情報交換により、まずは相手国の状況をよく理解してその中から活用できる知見を求め、あるいはより深い情報交換の場を構築する機会とするものである。
共通議題については各国の理解も年々進み、環境に優しい製品を作ろうという議論が高まるなど内容も深まってきており、質疑も活発であった。
プラスチック業界の懸案事項と解決すべき課題について、お互いに情報交換し、より価値の高い会議に育成していきたい。

(2012年11月1日〜2日 韓国ソウル)