第29回極東プラスチック業界懇談会開催

―ベトナムを加えて活発な意見交換で盛況に―


 第29回「極東プラスチック業界懇談会」は、本年は統合により新たに発足した韓国プラスチック工業協同組合聯合会の主催により、ソウルの新羅ホテル迎賓館で、11月6日(木)に開催された。昨年度はマレーシアとインドからの参加があったが、今年度はベトナムを迎えることができた。日韓台以外からの参加が2年続いたことは、今後の展開へのつながりが期待され有意義なものであった。参加者は次ぎの通り。

日本プラスチック工業連盟 佐藤 彰夫 会長 以下 16名
韓国プラスチック工業協同組合聯合会 辛 鎮 文 会長 以下 35名
台湾塑膠製品工業同業公會 陳 啓 發 理事長 以下 17名
Vietnam Saigon Plastic Association Quoc Trang 会長 以下  3名
総勢 75名

 各国代表の挨拶に続いて、会議は次ぎのテーマで行われた。

1)各国プラスチック産業概況報告(日・韓・台・ベトナム)
2)各国プラスチックのリサイクル関連報告(日・韓・台)
3)各国別個別テーマ
 (1)台湾:プラスチック医療機資材開発状況
 (2)韓国:生分解性プラスチック開発状況
 (3)日本:プラスチックス・及び類似製品の履歴情報検出


1)各国代表挨拶概要
 主催国の韓国の 辛 鎮 文 会長より、韓国のプラスチック業界は環境問題という困難に直面しており、使い捨て製品の使用制限とリサイクル制度及び生分解性製品生産の強化などの措置を講じているが、環境にやさしい製品の生産とリサイクルが業界で早急に解決すべき課題であることが述べられた。
 日本の佐藤会長からは、持続可能な発展を実現するためには循環型経済社会の構築が必要であり、本会はリサイクルを会議の定番としておりこの問題に貢献出来ていること、さらにプラスチック業界の発展は期待できるが、直面する課題については世界の業界全体で対処する必要があり、本懇談会はアジアの他の国を加えてアジアの中心的な会合にしていくことの必要性が述べられた。
 台湾の陳理事長からは、2002年の台湾プラスチック業界では、中国本土の需要が大きく海外販売中心の構造にならざるを得なかったこと、下流加工メーカーの海外移転の影響でプラスチック原材料の国内需要量は徐々に減少したこと。さらに、SARSの流行、プラスチック製品の使用制限政策の影響で、2002年は4.2%のマイナス成長になったことの報告があった。


2)プラスチック産業動向
 原材料の生産・輸入数量・国内需要について2002年のものを表1に、2003年上期のものを表2に示した。表1には年間一人当たりのプラスチックの消費量も付記した。
 日本の2002年の原材料生産量は△0.2%の微減であったが、韓国は+6.2%、台湾も+4.3%と増加している。日本と台湾は両国とも輸出が極めて増加幅が大きく、それぞれ+15.5%、及び+21.0%増であるが、一方国内需要は日本、台湾ともそれぞれ、△6.1%、△8.9%であり、国内産業の成長は見られていない。国内消費から見ると、韓国が+9.6%と堅調な伸びを示し、年間の1人当たりの消費量も+8.7%と大きい。

表1 2002年原材料の生産・輸出入量・国内需要まとめ
( )内は'02/'01
単位:1000トン
  生産量 輸 出 輸 入 国内需要 kg/人
日 本 13,848(-0.2%) 4,663(+15.5%) 1,163(+ 0.8%) 10,394(-6.1%) 81(-6.2%)
韓 国 10,083(+6.2%) 5,053(- 4.3%) 265(+33.2%) 5,295(+9.3%) 111(+8.7%)
台 湾 6,235(+4.3%) 3,528(+21.0%) 660(+ 3.9%) 3,367(-8.9%) 128(-8.0%)

表2 2003年上期原材料の生産・輸出入量・国内需要まとめ
( )内は'02/'01
単位:1000トン
  生産量 輸 出 輸 入 国内需要
日 本 6,752(+ 3.8%) 2,399(+2.5%) 614(+12.7%) 5,027(+ 5.4%)
韓 国 5,074(+ 1.5%) 2,559(+3.6%) 131(-13.8%) 2,646(−1.2%)
台 湾 2,480(-19.5%) 1,624(+5.0%) 283(-21.0%) 1,140(-39.3%)

 ベトナムからはアセアン諸国の中で、プラスチック需要量は第3位であり、その内訳は包装用が50%以上であり、次いで建築用、電子用とのこと。プラスチックに係わる投資は2002年には1.36億ドルになっており、PVCなど原材料の比重が高いのが現状。これまで1988年〜2001年の間の投資の割合は原材料(ほとんどがPVC関連)が27%、輸出用シューズ(EVA,PU)が24%、プラスチック関連ゴム成形が14%、土木・建築用が12%であり、総額19億ドルであったとの報告がなされた。


3)プラスチックのリサイクル関連報告
 日本:廃プラスチックの処理及び再資源化の動向
 韓国:生産者責任リサイクル制度の実施とプラスチックのリサイクル
 台湾:環境保護意識が高まる中でのPVC利用と代替発展の現況

 韓国からは新たに施行された生産者責任リサイクル制度について、(1)生産者責任リサイクル対象品目、(2)実行手続きと主体別役割分担、(3)リサイクルの義務数量、(4)リサイクル賦課金などの詳細な説明がなされた。生産者責任リサイクル制度の施行により、プラスチック包装材では、飲料品類、洗剤類、化粧品類、医薬品類などのメーカーがリサイクルの主な責任者となったとのこと。しかし、リサイクル事業については、専門の機構の(社)韓国プラスチック・リサイクリング協会を通して達成を図るとのことである。

◎各国個別テーマ報告
 個別テーマの内容については省略する。日本からのプラスチックス・及び類似製品の履歴情報検出に関するプラゲノム株式会社からの報告は、各国の強い関心を呼んだ。

質疑応答では活発な意見交換がなされた。韓国からは今年実施されたEPRは国が義務量を決めているので極めて厳しいことから、日本の実状についての質問が多くなされた。
記者会見では、廃プラスチックの再活用に関する情報ネットワークの提案や、中国に対しての参加要請について等積極的な意見が出された。
次回は,2004年秋、台湾にて開催の予定
なお、関連詳細情報は、「プラ工連ニュースNo.257」および当連盟機関誌「プラスチックス 2004年2月号」(予定)に掲載。